現実性の定義とKITAY解釈の登場

統合観測論およびKITAY解釈における現実性の定義内容は、「現象のありさまが物理法則、すなわち現実が持つ普遍性や必然性に従う性質である」と記述されています。
ここでいう物理法則とは、あらゆる現象の基本単位である物理量(物理単位の倍数として表すことができる量)のことを指しています。

現実性は物理量に反比例する量として数値化することができ、その単位にはヒューム Hm が用いられます。例えば「ある現象、あるいは存在がなんらかの原因で物理量が倍化した場合の現実性は 0.5 Hm である」と表現することができます。またヒュームは現実性を表す物理量としても扱われるため、入れ子状態の現実性とも記述されます。なお我々の世界におけるヒュームの解釈には、後ほど説明する「現実性強度と同義である」とする解釈も存在しますが、統合観測論では用途に応じて使い分けられる単位として解釈されています。

財団の報告者や財団世界を舞台とした物語では、しばし「ヒューム値が高い」、「ヒューム値が低い」などといった様々な表現が存在しますが、ここで言う「ヒューム値が高い」とは超常的な現象が起こりにくいということであり、対して「ヒューム値が低い」という表現は、超常的な現象が起こりやすいことを意味していると解釈できます。

これらの定義を前提に、現実性やヒュームが持つ科学的な性質を1つずつ確認していきましょう。2018年4月現在の統合観測論では、SCP-3001(レッド・リアリティ)のに登場するkejelの現実性法則をKITAY解釈によって再構築し、場の現実性を表すケジェル・ヒューム場、場の現実性の性質について説明するヒューム場拡散性、現実性とエネルギーの関係を説明する乖離変換として導入されています。

統合観測論において、KITAY解釈でいう入れ子状態の現実性は、場の現実性として扱われています。場の現実性は通常の現実性と若干異なる現象が起こっているので、ヒュームとは別に現実性強度 Hm/cm3 で表されます。物理学における場とは、ある量をもつ存在が連続的な影響を与える周囲の時空間のことを指しています。すなわちケジェル・ヒューム場は現実性が作用する時空間であることを意味しています。「現実性とヒュームの定義」でも説明しましたが、ヒュームは現実性を表す物理量であることから、現実性強度もまた現実性の影響を受けます。この影響の広さ、つまりは入れ子の規模をすこしわかりやすくすると、「ある地点の現実性の影響は、距離の逆2乗に比例する」と表現することができます。

現実性の影響についても触れておきましょう。この影響はヒューム場拡散性によって説明されています。
ヒューム場拡散性とは、その名のとおり場の現実性が見かけ上はヒュームの高い場から低い場へと移動する性質です。例えば2つのケジェル・ヒューム場 A,B のそれぞれのヒューム値が A = 3.0 Hm/cm3B = 0.4 Hm/cm3 である時、「現実性の移動方向は A→B であり、平衡状態となった時の場の現実性は 1.7 Hm/cm3 である」と表されます。そして、現実性が拡散している時の2つの場 A,B は見かけ上入れ子状態であることから、ケジェル・ヒューム場は導かれたのです。

しかし少し思い出してください。「現実性とヒュームの定義」で現実性は物理量に反比例する量として数値化されます。その物理量の中には当然エネルギーも含まれています。先程の例え実際の財団世界で起こっているのだとしたら、「エネルギーは低い場から高い場へと移動する」という、熱力学第二法則に反する現象が起こっていることになります。
この矛盾を解決するべく考えられたのが乖離変換です。乖離変換では現実性を表すヒューム値の変化によって増減する場のエネルギーを、乖離性エネルギーと呼んで区別しています。例えば 0.5 Hm/cm3 のケジェル・ヒューム場のエネルギーは倍化し、この時増大した分のエネルギー全てが乖離性エネルギーになります。しかしこのケジェル・ヒューム場には周囲の現実性の流れ込んでくるため、乖離性エネルギーは次第に減っていくことになります。この時減ったエネルギーはどうなったのかというと、なんとアノマリー(異常存在)として対生成されます。エネルギーは質量に光速度の2乗を掛けた量なので、エネルギーを光速度の2乗で割った値が質量になります。この時に生まれる質量体こそがアノマリーであり、こうした乖離性エネルギーとアノマリーの相互変換が乖離変換だったのです。

乖離変換の登場は、アノマリー発生の原理を解き明かしただけではありません。実はKITAY解釈の登場以前から現実性を収束させる力の存在を予想していた理論が存在しており、統合観測論は乖離変換の導入によってその理論との統一的記述を可能にしたのです。その理論というのが玉菜理論です。ここでは詳しく説明しませんが、玉菜理論との統一は、統合観測論学者にとっての念願であったことを覚えておいてください。

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