財団世界における統合観測論の歴史


History of Unified Observatology

in Foundation-universe


 

警告:レベル4機密情報

GOC-”財団”情報限定共有条約に基づく両組織内の大量の機密情報有
作業終了後もしくは施設指定区域退出時には規定の記憶処理プログラムを受けること
JRC監査室


"Veritas Omnia Vincula Vincit." ──John 8:32
「真理は全ての束縛を克服する」 ──ヨハネによる福音書 8:32

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アーカイブ:関係者からの聞き取り記録


JRCのできるまで

統合観測論を語るのであれば、まずはとある団体について話すのがいいでしょう。1998年、当時パラテック最大手だった株式会社プロメテウス研究所が経営破綻したのです。破綻直後動いた組織はいくつかありましたが、プロメテウス・ラボの研究成果を手に入れようとして成功した組織のうち二つが財団とGOCです。両組織ともにプロメテウス・ラボが開発してきたパラテックに大きく頼っていた部分がありました。

パラテック──パラテクノロジーは悪魔工学デモニクス奇跡論ソーマトロジー死霊術ネクロマンシーのような、"異常な"原理に基づく理論と、恒星間旅行学インターステラートラベロジー反物質工学アンチマターエンジニアリング改造生物学アルタードバイオロジーのような一般的に知られる科学の延長線上にある分野をあわせた総称です。そのような領域の研究は世界を維持しようとするのであれば避けては通れないものであり、研究が実を結べば強大な力を手に入れることも可能なものであるため、多くの団体や組織がパラテックの研究をしていました。そして20世紀最大にして最高のパラテック研究機関がプロメテウス・ラボだったのです。

プロメテウス・ラボは財団と対立していたとされることがありますが、より正確に言うのであれば"科学部門の一部の研究員がプロメテウス・ラボを半ば一方的に宿敵だと思っていた"というほうが正しいでしょう。当然ながら財団の職員には世界屈指の人材が山ほどいます。そんな人たちが潤沢な予算と最高クラスの環境を与えられてもなお追いつけなかったのがプロメテウス・ラボです。事実財団は財団-プロメテウス情報交換協定を結び、プロメテウス・ラボがスクラントン現実錨の改良型の製造を請け負っていた時期もありまし、テレキル合金は初期のオブジェクトの収容に今なお用いられています。

財団と同様、GOC──世界オカルト連合もプロメテウス研究所に大きく頼っていました。生体エネルギー放射視覚化戦術認識システムVital Energy Radiation Imaging Tactical Awareness System(VERITAS)の旧型であるCOLLICULUSの重要な画像処理システムのコンポーネントはプロメテウス前進論理デバイスが製造したものですし、エバーハート共鳴器の基礎理論はプロメテウス・ラボが発表した論文の中にありました。GOCは財団より能動的にパラテックを利用するため、プロメテウス・ラボはGOCの活動を支えていましたのです。

それが1998年9月1日、突然崩壊します。第一報は株式会社プロメテウス研究所傘下で最大の会社であったニューメキシコのプロメテウス・ディフェンス本社で起こった大爆発といった形で伝えられました。そして株式会社プロメテウス研究所が解散を宣言する文章を世界中の正常性維持機関に送信しました。すぐさまO5評議会はプロメテウスコングロマリットであった会社の買収計画を指示。財団が保有する総資産の8パーセントまでの支出を許可しました。これは記録に残る最大規模の資産にかかわる計画です。財団渉外部門でフロント企業の買収では右に出るものなしと知られていたエージェント・ルツァウを部隊長とした特殊買収工作部隊”αετόςアエトス”(ギリシャ語で「鷲」の意)の活躍は今なお語り継がれています。GOCも同様にプロメテウスコングロマリットの買収を行いましたが、財団ほど成功したとはいえませんでした。しかしそれでもプロメテウスコングロマリットであった会社の30%程度の入手に成功しています。

1999年が始まるころにはプロメテウスの名を冠した団体はほとんど無くなり、残ったのはその会社単体でやっていけるような技術力や資金力のある会社のみとなりました。世界中のハッカー(実際にはクラッカーでしょうが)の度重なる挑戦をすべて跳ね除けてきたレッドゾーン・セキュリティのイントラネットを通じてプロメテウス・ラボであった企業は連絡を取り合い、小さなコミュニティーを築きはじめていました。

そのころ、GOCや財団では人員整理や技術解析でてんてこ舞いでした。財団では変形性狼狂ワクチン製造プラントの模倣からスペースプレーンの素材分析まで工学技術事業、諜報、製造、医療、科学の各部門から専門家が引き抜かれたためにこの年の収容違反件数が前年比で45%上昇しているというデータもあります。

ですが、限界が訪れました。プロメテウス・ラボがパラテック業界で優位に立てていた理由はいくつもありますが、そのうちの一つは独自研究制度でした。週に八時間、プロメテウス・ラボの職員は機材をふんだんに使って自分の好きな研究をすることができましたし、書類一枚で大量の予算を必要とする計画を実行に移すことができました。この柔軟さは多くの技術を生み出したのです。一方GOCや財団では第一の目標が人類の安全を確保することであり、研究や開発はどうしても後手にならざるを得ませんでした。だからこそプロメテウス・ラボのようなパラテック産業が発達したのですが。そして両組織の上層部は早々にリバース・エンジニアリングの為の特別予算を削減し、研究者たちはその手の速度を落とさざるを得ませんでした。

そのころGOCの精神部門の特殊立会人や財団の諜報部門もてんてこ舞いでした。GOCと財団間の不和は第8次オカルト大戦を引き起こしかねないほどになっていた時期もありました1。ですが皮肉なことにプロメテウス・ラボの崩壊はその緊張関係を解くきっかけになりました。

そして、2000年9月下旬にオーストラリアのキャンベラで行われたGOC第55回決議においてミレニアム協定が可決されました。これは財団との緊張緩和を目的としたもので情報の共有や共同作戦系統の確立、そして共同研究計画について触れたものでした。実際のところ形だけの物であって外見上の緊張緩和を狙った物とも指摘されていました。しかしこの決議に漬け込んだ人間がいました。GOC天地部門研究開発課のジョセフ・ホイットニーと"財団"科学部門のチェン・ホウです。二人とも異常量子生物学者であり、大学時代の同期でした。別の言葉で言うのであれば、恋人をめぐって生物兵器を持ち出して争うぐらいにはいい仲の二人でした。なおこのとき争われた女性は他の男性と結婚しています。世知辛いですね。

キャンベラの会議で出会った二人は殴りあいも早々に共同研究機関の設立のたたき台を徹夜で作ります。多くの機密事項の共有が含まれるこの計画が上層部に発覚した時点で圧力がかかると考えた二人は、既成事実の作成に取り掛かりました。二人は知り合いのネットワークを駆使し"共同研究センター設立報告書"を徹夜で完成させます。この時点で初期人員の選出が行われ研究計画は進行しました。

はったりでゴリ押した報告書によって共同研究センターの設立は同日無理やりにGOC第55回決議にねじ込まれO5評議会の連名承認と共に認可されました。これによって共同研究センターの計画が動き始めたのです。


計画

「機材は連合が、場所と建物は財団が、人員は共同の文句なしに世界最高の超常科学研究所を作るという狂気の発想です。ですが両方ともそれを認可しました。連合は当時財団の最高機密であった"錨"の原理を、財団は連合が保有すると思われる"デバイス"の情報を欲しがっていたのです。当時COLLICULUS、VERITASの前世代機の開発に従事していた私にとっても"錨"の青写真は喉から手が出るほど欲しいものでした。」

──世界オカルト連合 天地部門 研究開発課 エーテル共鳴結像研究担当 █ ██

共同研究センター──JRCは超物理学を中心として基本的な超自然科学分野を全体的に研究するために設立されました。初期メンバーに選ばれた72人(ジョセフ博士とチェン上席研究員の知り合いで暇そうだった人物とも言います)はそれぞれ専門分野がばらばらでしたが、その中には薊四葉(財団職員。後に四葉予想を提唱する統合観測論研究者)やチック・ヴェドラー(GOC、世界統一奇跡論研究センター所属の呪術人類学者)などそうそうたるメンバーがそろっていました。

2000年12月25日、モスクワ近郊の財団が保有する会議所でJRC初期メンバーの初顔合わせが行われました。この会議は18時間ぶっ通しで続き11人が急性情報中毒で倒れ専門機関へと搬送されました。これによって方針が決定され、そのための人員集めが始まることとなったのです。

人員はGOCと財団、両方から集められましたがその多くが元プロメテウス・ラボ職員でした。彼らは再会を喜び、また研究ができることを祝いあいました。また元からGOCや財団にいた職員もいました。

2001年6月、JRCが設立されました。日本の東京とアメリカのシリコンバレーの二つの拠点が主な活動に使われ、かつてプロメテウスコングロマリットの研究機関があった南太平洋海底2と月面、ツィオルコフスキークレーター採掘所が分室として改修されることになりました。

各所に研究機材が運び込まれ、JRCは動き始めたのです。


研究準備

GOCで奇跡論に関する研究は世界統一奇跡論研究センター(ICSUT)が主に行っていましたが、それらは近世魔術の延長線上にあり秘儀的な部分が多く存在しました。強さ(Intensity)、色相(Hue)、ピッチ(Pitch)、構成(Weave)というものは感覚的には比較的理解しやすい物ですが実際の測定は困難でした。対する財団は純粋な理論の組み立てによりヒュームと呼ばれる"現実性の強さ"を用いた理論を構築していましたが基本的な分野ですら多くの課題が残っていました。

まず、この二つの理論の統合が行われました。無理次元ベクトル空間解析論、超トモグラフ関数、重差分数学という三つの理論を中心として統一奇跡論の定式化が行われました。これらの理論に必要である高次元の可積分複素多様体の構造を直感的に捕らえることは困難でしたが、ミラ・キャーシャによる高次元認知デバイスの発明が研究者たちの理解を加速させるきっかけとなりました。

ここで二つの理論を見比べてみましょう。まずヒュームは本来物理量の変化を基準として定義されました。1mの物体が現実改変によって2mに変化すれば2.0Hmの現実改変能力がある、というように。ですが実際にはこの定義には多くの問題が存在します。基準とするべきは「長さ」なのか「体積」なのか、はたまた「重さ」なのか。現在の「基準ヒューム定義」と呼ばれるものは微細構造定数を基準にしています。これは基底状態にある水素の電子の速度と光速度の比であり幾つかの物理定数から求めることができる無次元定数です。この数はただの比であるため科学で一般的に用いられるSI単位系だろうがヤード・ポンド法であろうが同一の数字を導き出すことができます。カント係数計では2.0Hmの空間内に設置された各種計測器のデータを外部の観測機のものと比較して計算をするのですが、実際に現実歪曲によって微細構造定数が変化することは余りありません。物理定数をいじくっても無から有を生み出すことは困難ですし、現実歪曲者が行う瞬間移動のような行動の説明をすることも困難です。よって一般的にはアスペクト放射との比によって計測される「相対ヒューム値」が用いられます。現在使われている相対ヒューム値の実際の計算式の"概略"がこちらになります。

(1)
\begin{align} \left[ \left| \mathcal R_{1};\mathcal R_{2};\mathcal R_{3};...;\mathcal R_{p_{n}}***\dfrac {\sqrt [\lambda _{0}] {\sum \mathfrak T^{\lambda k}_{\mathcal R_{k}}}}{c^{2}+\phi ^{2}}\right| \right]^{0}_{\prod \left( \tau\right)} \end{align}

なおここで$\left[ \left| ... \right| \right]^{b}_{a}$はaからbまでの超トモグラフ解析を、;は重差分計算を、$***$はキャーシャ結合を、$\mathfrak T_{\mathcal R_{k}}$は無理次元ベクトル係数を表すものです。ものすごい複雑に見えるでしょうが、実際はこれをそのまま使うことはできずいくつもの近似式を用いて算出します。なおここで出てくるキャーシャ結合のキャーシャは高次元認知デバイス発明者のミラ・キャーシャではなく、彼女の妻であり無理ベクトル空間論の提唱者のノル・キャーシャの名前から来ています。

それでは奇跡論のほうはどうでしょうか?ここで簡単に奇跡論の用語をおさらいしておきましょう。

特性名 概要 種類数 付記
強さ(Intensity) アスペクト放射の単純な強さ なし。単位はキャスパー(Caspers) 背景放射が100、1000から超常影響
色相(Hue) 現象の影響度 7 "変質のわかりやすさ"と説明される
ピッチ(Pitch) 破壊性・建設的の尺度 4 建設的だからといっていいものであるとは限らない
構成(Weave) 主観的な状態 4 かつてはタイプ・ブルーによる直接評価のみであった

電磁場への奇跡論的な干渉がコロナ放電を用いることによって写像化可能である可能性が示されてから、GOCは独自に研究を進めていました。水クラスターに介在する量子メモリ効果などの研究により

[文章未記入一部破損]

かつて財団は謎に包まれた組織でした。1900年ごろから”財団”の名で活動を始めた世界規模の組織で、その活動痕跡から考えると一国の中枢に影響を与えられるほどの相当に長い歴史を持つことはGOCも把握していました。実際には複数の古い組織が合併したもの

[文章未記入一部破損]

[文章未記入一部破損]

Global Occult Commission - "Foundation" Joint Research Center
GOC-"財団"共同研究センター

[文章未記入一部破損]

月面、ツィオルコフスキークレーター
ツィオルコフスキークレーター分室
全周300km(ぴったり!)の超大型量子加速器がある
参考画像(青色の線が加速器の直径)

[文章未記入一部破損]

出演予定職員
チック・ヴェドラー 世界統一奇跡論研究センター所属の呪術人類学者。著作「呪術から魔術へ」は文化的奇跡論研究を大きく変えた。
倉井博士 倉井膜宇宙模型の提唱者。
薊 四葉 四葉予想の提唱者。
ノル・キャーシャ 無理ベクトル空間論の提唱者。ミラ・キャーシャの妻。
ミラ・キャーシャ 高次元認知デバイスの開発者。ノル・キャーシャの妻。
コルネリオ・カルノー 超次元流体の運動方程式の発見者。

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