統合観測論II

乖離変換

現実改変者の周囲では奇妙なことがよく起こりますが、彼らとその周囲に存在する現実性とエネルギーの関係はもっと奇妙です。財団の報告書などで目にする現実改変者は、個体の現実性が高く、周辺の現実性は低いことがよくあります。ある現実改変者の現実性が 3Hm で、周囲の空間の現実性が 0.4Hm だったとします。ヒューム拡散性とヒューム水準を思い出してください。現実子が現実性を力として伝達する場合、その力は進んだ距離の2乗に反比例します。この時現実改変者が存在する場所のヒューム水準が 1Hm であった時、現実改変者を始点とした現実性の伝達距離は 1.73 m と、とても短い距離しかありません。ヒューム水準が存在する限り、周囲の空間の現実性が 0.4Hm になる要因は存在しないように見えます。統合観測論ではこの問題を、乖離変換という対称性によって説明しています。

対称性について簡単に説明すると、基となる法則が変わらない限りは、ある地点から別の地点へと移動させても、数式などは元の形とは変わらない性質のことを指しています。乖離変換の対象性は、ある地点の現実性とエネルギーの量をイコール = で結んだ関係式で表すことのできる対称性です。難しい説明を省くと、エネルギーの量は現実性の値に反比例します。例えばある地点の現実性が 3Hm であるなら、その地点のエネルギーは3分の1に減少し、 0.4Hm であるなら、その地点のエネルギーは2.5倍増大します。信じられないかもしれませんが、乖離変換は現実改変者だけでなくアノマリーの出現についてもある程度の納得できるデータが取れているため、統合観測論では極めて正確な法則として認識されています。

話を現実改変者の話に戻しましょう。現実改変者とその周囲の空間の現実性は、乖離変換によって説明できます。簡単に説明すると、現実改変者は周囲の空間から現実性を吸収していて、その分現実改変者は自身からエネルギーを放出しているということです。空間の現実性たるヒューム基準は、現実改変者に吸収された分だけその総量は減少しますが、どこもかしこも均一に減少するわけではありません。先程の現実改変者の例を用いるなら、 3Hm の現実改変者が ヒューム水準 1Hm の空間から吸収することのできる距離は、現実性の伝達距離 1.73 m と同値です。アリジゴクの巣を想像していただけるとわかりやすいかもしれません。アリジゴクが砂に触ることができる距離はとても短いですが、斜面の下にある砂を削ると、斜面の上にある砂が流れ込んできますよね?現実改変者の周囲で起きていることは、このアナロジーとおおよそ同じです。

現実改変

現実改変者の周囲では現実性の雪崩が起きていると説明しましたが、実際に現実改変者が現実改変を起こしている原理について、統合観測論ではどのように考えられているのでしょうか。現実性とエネルギーの関係について振り返ってみましょう。空間に存在するエネルギーの量は、現実性の増減に合わせて反比例します。仮にこの時変化した分のエネルギーを乖離エネルギーとしましょう。次に乖離エネルギーが存在する空間に、適当な物質を生成する現実改変を発生させたとします。アインシュタインはエネルギーと物質の関係について、次のような数式で表しています。

(1)
\begin{equation} E = mc^{2} \end{equation}

エネルギー E は質量 mに光速度 cの2乗を掛けた量で表すことができます。エネルギーから物質を生成することを対生成というのですが、対生成が発生するかどうかは確率次第です。しかし現実改変ではこの確率についてはある程度無視することができると考えることができます。最終的にエネルギーから物質が対生成されるのであれば、空間にあったエネルギーは質量分失われ、現実性は乖離変換に従って上昇することがわかります。この逆説はすなわち「現実性が低い空間の、ある一点の現実性が上昇させると対生成が起こる」ことを意味しており、これが現実改変の原理では無いかと考えられています。

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